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2024 New Model | RENAUD TIXIER
2024年 ルノー・ティシエ新作 マンデイ

【編集顧問 田中克幸 ピックアップ】

 2023年に創立し、機械式時計における7つの大原則の改革を目標とするルノー・ティシエ。その第1弾モデルが、動力源の要となるローターに革新的な機構を与えた「マンデイ(Monday)」である。新機構が搭載されたローターは機械の美的見地から標準型ではなくマイクロローターを選定。標準型ローターはムーブメントのほぼ半分近くを覆い隠すので美しくないという判断だ。そのため両方向巻き上げのマイクロローターの中心部に、彼らが開発した“ダンサー”と呼称するパーツを設置。これがローターの振り幅の改善やエネルギーロスの最小化、ならびに外乱(外部からの衝撃)までもエネルギーに置き換えることにより60時間以上のパワーリザーブを実現した。


マンデイ

Monday
マンデイ
Ref:RVI2023-MON-006-500
ケース径:40.8mm
ケース厚:11.0mm
ケース素材:18K(5N)ローズゴールド
防水性:3気圧(30m)
ストラップ:ブラックカーフスキン
ムーブメント:自動巻き、Cal.RTVI2023、60時間以上パワーリザーブ、毎時18,000振動(2.5Hz)、部品数315個、30石
仕様:時・分・秒(スモールセコンド)表示
価格:79,000CHF(スイスフラン / 税抜)




ドミニク・ルノー氏が考案し、ジュリアン・ティシエ氏によって実現した記念すべきルノー・ティシエの第1作「マンデイ」。全体のデザインは“新古典主義建築(Neo-classical Architecture)”(※註)から着想を得ている。粗めの粒子をまぶしたようなグレイン仕上げのグレーダイアル、18Kピンクゴールド製アップライト・バーインデックス(12時にはブランド・ロゴ)、ポリッシュとマット仕上げのケース等古典時計を想起させる正統派腕時計だ。一方で3-5時にはスモールセコンドを配置するが、当モデルの見所は8-10時のオープンワークによるマイクロローターである。シースルーケースバック仕様なので、ルノー氏とティシエ氏が目指す“機械式時計7つの改革”中、第1の改革としたマイクロローターのほぼ全容を両面から確認することができる。ここで紹介する18Kピンクゴールドの他、18Kホワイトゴールドモデルも用意される(79,000CHF=スイスフラン。税抜)。
(※註)新古典主義建築:18世紀後期に仏で勃興した建築様式。それ以前の後期バロック建築で、主に宮廷建築に用いられたロココ建築の過剰な装飾性等への反動として生まれた。荘厳さや崇高なる美を備えた建築様式である(Wikipediaより)。


「マンデイ」に採用されたマイクロローター搭載の自動巻きムーブメント、Cal.RTVI2023。“RT”はRenaud Tixier、“2023”はムーブメント完成の2023年の意味と思われる(“VI”は不明)。自動巻き腕時計のローター機構は、1930~1940年代の腕時計の産業化(industrial standardization)以来、ほとんど発展していないメカニズムであるとルノー・ティシエは断定する。彼らがマイクロローターを選んだ理由はその繊細さやエレガントさにある。ムーブメントのほぼ半分近くを覆い機械部を隠してしまう一般的なローターと異なり、マイクロローターはその全容を明らかにするからだ。しかし一方で小型ローターは巻き上げ効率やエネルギーロス、外乱(外部からの衝撃)に弱いという難点がある。これを解決すべくドミニク・ルノー氏が着目したのがローターの中央部で、“ダンサー”と呼称される、まるでプロペラのような補助装置が当位置に設置された。これによりエネルギーロスの軽減と、なによりも驚くのが外圧(外部からの衝撃)もエネルギーに変換するというメカニズムである。現状では最低でも60時間以上のパワーリザーブを実現しているが、ティシエ氏の話によれば実際はそれをかなり上回るようだ。


ルノー・ティシエの創立は2023年のこと。時計界のレジェンド、ドミニク・ルノー氏(左)と将来のレジェンドと期待されるジュリアン・ティシエ氏(右)により結成された独立時計工房である。ルノー氏は1986年、友人のジュリオ・パピ氏と共に創立したルノー・エ・パピで時計界では伝説的な存在。2000年にオーデマ ピゲによる買収後、独立の道を追求し一時は仏南部に移転したものの、約12年後にスイスに帰国。その頃にティシエ氏と巡り合ったという(ルノー・エ・パピの正式な退社は2017年)。一方、仏のモルトー(※註)の時計学校出身のジュリアン・ティシエ氏は、その才能を高く評価され、ふたりの共同作業は2020年にTempus Fugit、2023年にはFurlan Marriのモデルで華開く。特に後者の「Memory of the Future」は同年の「オンリーウォッチ(ONLY WATCH)」に出品された。なお、ルノー・ティシエのCEOは昔からの時計愛好家には懐かしいミシェル・ニエト氏である。彼は2005年頃ボーム&メルシエのCEOを務め、しばらくは時計界から離れていたがドミニク・ルノー氏に“惚れ込んだ”ためにこの役職に着任したという。彼らの特筆すべき姿勢はTOP PAGEでも記したが“オンタイム・デリバリー”だ。特に個性的で少量生産の独立時計工房では世界中からの注文に対応する能力に欠け、“何年待ち”ということが常である(最近では大手メゾンでもあるようだ)。これは顧客に対して失礼であるという考えの元、彼らは上記の“注文即対応”を目指している。実現すれば素晴らしいことだ、他社も参考にしてほしい。
(※註)フランス・モルトー(Morteau):仏東部、ジュラ地方でスイスと国境を接する位置の町。ラ・ショー・ド・フォンやル・ロックルとの距離はわずか25kmほど。よってルイ14世による1685年の「ナントの勅令の廃止」により迫害を恐れた時計師達が逃れた地域であり、モルトーには時計産業の歴史が息づいている。2012年3月に私と名畑編集長は当地の時計学校や時計博物館を訪れたことがある。


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    ルノー・ティシエ
    japan@dominiquerenaud.ch
    TEL: 03-6811-6076


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