タグ・ホイヤー(TAG HEUER)は今回も2010年のバーゼル・ワールドの主役だった。すでに開催前から一部で話題を集めていた自社製クロノグラフ・ムーブメント「キャリバー1887」が、「カレラ」に搭載されて登場したのだ。
しかもこのムーブメントは、セイコーインスツル(SII)が開発した「キャリバーTC78」がベース。このムーブメントの知的財産権をタグ・ホイヤーが取得し、主要部品の再設計・再開発を行い、全く新しい高性能クロノグラフ・ムーブメントへと進化させたというから、我々としてはちょっと誇らしい。
なお、ムーブメント名称の"1887"という数字は、クロノグラフ機構の主要パーツである「振動ピニオン」をホイヤー社が開発した年を指し、当然、これは新型ムーブメントにも採用されている。偏芯調整ねじを取り付けるなどの改良を加えており、クロノグラフ作動までに要する時間は2/1000秒以下となった。
さらに話題になったのは、毎年恒例の「コンセプトウォッチ」。今回は世界で初めてヒゲゼンマイを使用しない脱進機「ペンデュラム」を開発した。ヒゲゼンマイなしでテンプを振動させる…、その秘密は磁石にあった。磁石が持つ"引き寄せと反発の力"を利用してテンプを振動させる機構は、毎時43,200振動のハイビート・ムーブメントとなり、理論上は精度が向上するという。
これだけの特殊機構がすぐに実用化できるとは到底思えないが、過去に不可能と思われたベルトドライブ機構「モナコV4」を実現させたタグ・ホイヤーだけに、その可能性はゼロとは言えない。期待して待つのが正しい姿勢だろう。
ちなみに昨年発表されたショックアブソーバー式のコンセプトウォッチ「モナコ 24 クロノグラフ」は、126万円(世界限定1000本/予価)での発売が決定している。有言実行というのもタグ・ホイヤーの信念なのだ。
取材・文:篠田哲生 Report&Text:Tetsuo Shinoda
写真:堀内僚太郎(Storm) Photos:Ryotaro Horiuchi(Storm)
※表記は2010年4月現在のものになります。
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