ULYSSE NARDIN炎が作り出す輝きグラン・フー エナメル Grand Feu

　 エナメルダイヤルの中で最も標準的な技法となるのが、このグラン・フー。“偉大な炎”と命名されただけあって、800～1000度という高温の炉内で約2～4分間ほど焼き上げ、美しいガラス皮膜の強固なエナメル面を作る。

　 その工程は、まずエナメルパウダーを作ることから始まる。そして銅板の裏側に糊を塗り、エナメルパウダーを振りかける。そして表側にも糊とパウダーを振りかけ、炉に入れて焼くという作業を数回繰り返してエナメル板の下地を作り、表面を整えてからエナメルパウダーをふりかけ、仕上げの焼きを入れるのだ。

　 冷えたエナメル板は、別室にてインデックスを作る作業に入る。ゼラチンジェル製のスタンプを使用し、2～3回ほど印字を重ねて厚みを出すのが特長。なおインデックスに使用する黒い顔料は、エナメルパウダーとオイルを混ぜたものなので、乾燥させた後に小さな炉に中で再度焼き入れを行う。ちなみにスモールセコンドなどがへこんでいるタイプもあるが、これは大きなエナメル板に穴をあけ、別途製作した小さなエナメル板を組み合わせるという非常に手間のかかる作業を経ている。

　 最後に大きさに合わせて丸くカットするが、繊細な素材のため、ここでも細心の注意が必要。ここまでたどり着くのに約5～10時間を要するが、求める品質レベルは高く、エナメル板の60％は自社基準に満たないという理由で廃棄処分されるという。