2003年のバーゼルワールドにおいて、彗星のごとく現れたキューバ生まれのスイス名門時計「クエルボ・イ・ソブリノス(CUERVO Y SOBRINOS。以下CYS)」。本年2012年の当展示会では、創業130周年を迎え、濃密なラテン文化を湛える記念モデル群が発表された。しかし、この130年はけして順風満帆なものではなかった。
1882年、ラテンアメリカで繁栄を極めていたキューバの首都ハバナでも、とりわけ高級店が並ぶ一等地キンタ通りに創業した時計宝飾店「La Casa(ラ・カーサ=家)」。これが彼らのルーツである。20世紀に入り、特にアメリカ合衆国の富豪、文化人、俳優達の一大リゾート歓楽都市となったハバナの発展に伴い、CYSはパテック フィリップやロレックスなどスイス一流時計会社とのダブルネーム・ウォッチを生産。当時すでにスイスのラ・ショー・ド・フォンで製造活動を行っていた。しかし、1959年のキューバ革命ですべてが一変し、CYSも長い休眠時代を迎える。