ドイツ人時計師ゲルト・リュディガー・ラング氏により、1983年ミュンヘンに創立したクロノスイス(CHRONOSWISS)。2012年のバーゼルワールドは、当社の歴史において大いなる節目の展示会になったと言える。それはスイス・ルツェルンに本拠を構える実業家オリバー・エブシュタイン氏をCEOに迎え、新体制が築かれたことを当展示会で明らかにしたからである。
これは世界のクロノスイス愛好家にとっては相当気にかかるニュース。しかし、大幅な方針展開はせず、ラング氏もアドバイザーとして当社に残り製品開発に関わるとのことなので、ひとまずはファンにとってひと安心というところだ。当然ながらクロノスイス・ファンの大半は、古典時計の味と良さを理解する古典時計愛好家であり、彼らの見立てが当社の評判を左右すると言って過言では無いからだ。では新作を見てみよう。
新体制の基礎固めのためか、本年の新作は既存モデルのバリエーション展開を中心としたラインナップである。まず2010年に発表されたアンティーク風味たっぷりの「シリウス(Sirius。恒星の中で最も明るい大犬座の首星)」。このときは2針+スモールセコンド・モデルだったが、今回はカレンダー付き中3針モデル「シリウス オートマティック(Sirius Automatic)」が発表された。
次に昨年2011年発表の「バランス クロノグラフ(Balance Chronograph)」。当社初のダブル・レトログラード機構を備えたモデルで、左右完全対称形を成す当モデルはクロノスイスの美意識を充分反映されたデザインだが、今回はクロノスイスでは極めて珍しいマルチカラー採用モデルの登場が鮮烈である。そして1991年誕生の「カイロス クロノグラフ(Kairos Chronograph)」からは、第二世代モデルが発表されたのが記憶に残る。
新作を見る限りでは新体制への移行が順当に進んでいるクロノスイス。昨年11月には日本輸入代理店も新しく代わり、今後の製品開発が将来を左右すると言えるほど、重要な時期にあると言える。