1976年、イタリア人のマリオ・ボイオッキによってスイス・ジュラ地方に創業されたポール ピコ(Paul Picot)。スイス式の厳格な時計づくりの伝統を守り、「ジェントルマン」シリーズに代表されるような、クラシカルで良質なデザインを提示し続けるブランドである。その一方で、デザインを監修するマリオ・ボイオッキのイタリア人らしい大胆なセンスとアイデアが発揮された、二層ダイヤルで独創的な積算表示をおこなうクロノモデル「テクノグラフ」が2005年の発表以降大人気を博し、ポール ピコの新たな「顔」として認知されるようになった。
2009年の新作は、「ジェントルマン」「テクノグラフ」、そしてスポーツ系の「プランジャー」の3つのラインに、それぞれ新作がエントリー。特に「ジェントルマン」シリーズはドレッシィな3針、デザインに小技の効いたクロノグラフなど、幅のある展開であった。そして好調な「テクノグラフ」は、二層式のクロノ表示を発展させ、ディスク式にすることで個性をさらに強調。赤・青・黄を挿し色に使った、遊びのあるスタイルに仕上がっている。
機械式時計不遇の時代に一念発起してブランドを創立し、素材、品質、デザインを徹底的に追求するという理念を掲げてきたポール ピコ。真面目な時計づくりをベースに敷きながら、年々シリーズごとのキャラクター性が際立っていく同社は、現在もっとも目が離せないブランドのひとつである。
Technograph Discotime
モデル名: テクノグラフ ディスクタイム
Ref: 3434SS
ケース径: 44mm
ケース厚み: 15mm
ケース素材: SS
防水性: 10気圧
ストラップ: カーフ
ムーブメント: 自動巻 Cal.PP1360(Valjoux7750ベース)、毎時28,800振動、42時間パワーリザーブ
仕様: クロノグラフ(ディスク式表示)、日付表示、世界限定300本
予価: 861,000円(税込)
発売予定: 2009年 秋
※クリックすると詳細をご覧になれます
すっかりポール ピコのフラッグシップモデルとして定着した「テクノグラフ」。ダイヤルは二層式になっており、独立した時分表示をおこなう上のダイヤルは、クロノグラフの積算計を半分覆い隠すような個性的なレイアウトになっている。新作の「テクノグラフ ディスクタイム」は下層にある積算計を、針ではなくディスク式のものに刷新。ディスク上にふたつの方向の違う矢印を記し、前半と後半で半月型のインナーダイヤルの外側と内側を交互に指し示す、独創的な方式をとっている。従来の針式に比べ、ディスクをビビッドなカラーで色分けしたため視認性は格段に向上した。それ以外にも、カレンダーの数字を透かし彫りにしており、センターにくる日付だけが赤字で表示されるなど、エスプリの効いたアイデアがふんだんに活きている、ポール ピコらしさを象徴するモデル。
文:越知絵里香 写真:板津亮
※表記は2009年7月現在のものになります。